蔵元訪問 ~永井酒造様にて~ 2018/4/2

日本酒蔵「永井酒造」様へ行ってきました!!

 

水芭蕉の花が仄かに香る、麗らかな春の好天に恵まれた4月2日、このたび「永井酒造」様からご厚意を頂き、蔵家社長と社員一同は蔵のある群馬県利根郡川場村を訪れました。

「永井酒造」様は明治19年に創業。現当主の永井則吉社長は6代目となります。

永井社長のお話によりますと、当時の川場村はあたり一面桑畑しかない、群馬県一貧困な村だったそうですが、蔵元、行政、住民の尽力によって、米造りを中心とした田園風景を残した農業基盤整備に成功しました。

 

「永井酒造」様の酒は2ブランドを掲げております。創業時より地元から愛される「谷川岳」、1992年に新たに醸造された特約店限定流通「水芭蕉」。特に「水芭蕉」は、国内外で輝かしい評価を得ております。

「永井酒造」様のコンセプトは酒造りに欠かせない「水」「米」に感謝する心を重んじること。川場村の恵まれた伏流水と川場村の食用米「雪ほたか」、また、兵庫県三木市の「特A山田錦」を中心に、高精白にこだわり、9号系のKZ酵母、9号酵母を使用し、近代技術と伝統ある匠の技の融合により、今日の輝かしいご活躍に直結しているように感じました。

 

まず、永井社長、川島営業部長に案内して頂けた場所は、伏流水のある河川上流へ。そこは、永井ブランドの酒の成分の8割を担う仕込み水が生まれた場所。少し口に含むと柔らかで仄かに甘味があり、永井ブランドの透明感あるすっきりとした酒質の根幹を感じました。

   

 

次に蔵からほど近い場所、川場村を見守っているかのように建っているお寺、「青龍山 吉祥寺」へ。「吉祥寺」は鎌倉建長寺を本山とする臨済宗の禅寺です。禅寺らしい荘厳な建築模様、絵に描いたかのような美しい2つの滝や枯山水の庭を拝観させて頂きました。「吉祥寺」は「花寺」とも言われ、四季折々の旬の花が楽しめるお寺として、檀家さん以外にも多くの観光客が訪れます。私達が訪れた時は、「水芭蕉」「水仙」などが丁度見頃を迎えておりました。

 

  

 

そして蔵の中へ。

初代当主「永井庄治」様から始まった酒造りの歴史、蔵人様の想い、今後のビジョンなどを永井社長よりお聞きしました。お取引させて頂いていることへの感謝と同時に一本一本に込められた商品の価値を丁寧にお客様へお伝えする蔵家の使命を改めて胸に刻みました。その時の写真を順番に紹介致します。まずは、川場産こしひかり「雪ほたか」の50%磨きです(写真参照)。そもそもアルコール発酵は、糖分が酵母の働きによってアルコールと二酸化炭素に分解されます。例えばワインはもともと原料の葡萄に糖分が含有されているので醗酵しやすいのですが、日本酒の原料はお米。お米には糖分がない為、まず、お米の中のデンプン質を麹菌の力で糖化させる作業があります。その作業は製麹(せいぎく)といい、気温35度前後の麹室と呼ばれる部屋の中(写真参照)で、麹菌を繁殖させます。

  

次に醗酵槽の中をのぞいてみました。醪(もろみ)の中でふつふつと音を立てて醗酵している様子を体験させて頂きました。お酒が静かに脈動しているかのような神秘的な瞬間です。

次に醗酵タンク内のお酒を温度調整する為の工夫が施されたタンクを拝見させて頂きました。

きちんと整理整頓された作業道具の数々。写真ではわかりづらいですが、よく見ると道具ひとつひとつに名札があり、どれも新品のようにピカピカに手入れされてました。因みに整理整頓は蔵家3大原則のひとつでもあります。私達もしっかりと襟を正し、永井酒造様を見習わせて頂きます。

次にお酒の火入れを行う機械です。火入れとは、搾ったお酒を加熱して、お酒の酒質に害をなす、「火落菌」や「悪い乳酸菌」を殺菌したり、酵素の働きを止めたりする為の加熱殺菌作業のことです。通常、蛇管(じゃがん)とよばれる熱交換器を使用し、60度~65度に保った管の中へお酒を通し、その後急冷します。写真に写っている熱交換器は、2~3秒で温度の上げ下げを行うことが出来ます。その利点は、お酒が高温度になる時間を少しでも短縮する為だそうです。

 

 

次に現酒蔵と隣接した「古新館」へ。ここは旧酒蔵を改装した飲食スペース付きの直営所。当時の酒蔵をそのまま残した趣のある店内はまるで当時にタイムスリップしたかのよう。飲食スペースの「蔵カフェ」では、瓶内二次発酵の発泡清酒「水芭蕉 ピュア」、まるで白桃や洋梨のような香りと優しい味わいが楽しめる「水芭蕉 純米大吟醸 翠」、デザート酒「水芭蕉Dessert sake」、また、特別に超希少限定酒「水芭蕉 ヴィンテージ」までご用意頂けました。そして、そのお酒に寄り添う様々な郷土料理も堪能させて頂きました。写真は古新館の物販販売スペースと蔵カフェスペースです。

  

 

その一部を紹介です。

酒粕汁は、昆布と鶏皮で抽出した出汁の中に酒粕を入れ、郷土の野菜を使用することで甘味と旨味を引き立たせたやさしい味わいが印象的でした。

里芋の味噌煮は、ほっこりとしたやわらかな芋の食感と濃厚な味噌の風味がうまく絡み、「水芭蕉 純米吟醸」や「Desssert sake」との同調した味わいの相性が良く、蒟蒻の酢味噌和えは「水芭蕉 ピュア」との香りや酸との相性が良く、郷土の山菜料理は「水芭蕉 純米大吟醸 翠」との香りや食感との相性が良かったです。

そして見るからに高価な地鶏や牛肉は、素材の味を充分引き立たせたシンプルな炭火焼きに。これには、なめらかで余韻の奥行がある「水芭蕉 ヴィンテージ」との相性がまさに絶品同士の極み。

永井社長と川島営業部長とのお話を交え、楽しく美味しいランチを堪能させて頂きました。

  

 

名残惜しく蔵を後にして、最後に案内して頂いたのは、川場村にある道の駅「田園プラザかわば」。ここは、武尊山の麓に広がる自然豊かな環境で地元の新鮮野菜・果物が買えるファーマーズマーケットや、地元食材を使用したレストラン、パン工房、ビール工房、カフェや日帰り温泉などがあり、お年寄りからお子様まで楽しめます。

「日経プラスワン 家族で一日楽しめる道の駅」東日本第1位に輝いた話題の道の駅。私達が訪れた日も平日ながら多くの来客で賑わっておりました。ここでも永井ブランドのお酒は大人気!! 様々な特産品を知ることが出来ました。

 

終わってみれば1日があっという間に過ぎた充実感。この度、五感でいろいろ勉強させて頂いたことを蔵家スタッフでしっかりと共有させて頂いた上で、お預かりしている大切な商品を今以上にお客様へしっかりとお伝えするよう努めます。

この日の為にお時間とご尽力頂いた永井社長を始め、川島営業部長、蔵元スタッフ様、心より感謝申し上げます。

 

手記 蔵家 有本