グレイスワイン オープンカレッジ 2018年11月20日(火) 中央葡萄酒㈱

秋晴れの一日に、山梨県の勝沼と明野に畑を持つ中央葡萄酒さんが開催する、年に一度のオープンカレッジに参加させていただきました。
中央葡萄酒さんは日本ワインの発祥、山梨県勝沼町に1923年創業。
日本で千年以上の歴史を持つ白ブドウ「甲州」を中心に醸造なさっています。

今回ご案内いただいたのは、甲府市にある明野町。
この地には2002年に三澤農場を開園。
今でこそ周りにも葡萄畑だらけのこの土地ですが、当時は殆ど無かったそうです。

韮崎の駅からバスでワイナリーに移動する道中、周囲を囲む山々のお話をしてくださりました。
この明野の地は八ヶ岳や茅ヶ岳、南アルプス連峰という、3千メートル級の山々に囲まれているため、それらが曇り雲を堰き止め快晴をもたらすという、日本一の日照時間を誇る土地。
そして昼夜の寒暖差が収穫の季節には20度にもなるという、まさに自然が生み出した奇跡のワイン産地なのです。

三澤農場にはグレイスワインの中でも上位シリーズのキュベ三澤とそのセカンド、そしてエクストラ ブリュット用の葡萄が植樹されています。
ヨーロッパ式の垣根仕立てで生育されており、生育期を通して吹き通る南風という絶好の自然条件が、ブドウの健全な成長と深い成熟をもたらすそうです。

畑の中でお話くださったのは、栽培醸造責任者であり、現4代目オーナーである三澤茂計氏のお嬢様でもある三澤彩奈さん。

葡萄畑で育ち、ボルドーを始め、世界各地で栽培醸造を学んだ栽培醸造一筋の方です。
話の端々からワイン造りへの熱い想いが伝わってきます。
日本酒や焼酎の杜氏さんからお話を伺う時と同じ感覚を受けました。
まさに「日本の職人」
こういった方からのお話は、
(この方達が造ったものをこちらも誠意を持って取り扱わねば。)
と、身が引き締まります。

今回のカレッジでは貴重なキュベ三澤 プライベートリザーヴ2008年VTを始め、今年リリースな2016年VTなど、数多く試飲させていただきました。
そしてそして、なんとバルクワインまでカーヴの中で試飲させていただく機会をいただきました!

神聖な雰囲気漂うヴィンテージカーヴの中で、彩奈さんがワインをバルクから取り出し、配ってくださいます。
今ここで寝ているのは2017年VTのワイン達。
来年のリリースに向け、静かに眠っているのです。
バルクから直接いただくのは、私は実は初めてです。

2017年はメルローはワイナリー史上最高の出来になったということです。
しかし、遅摘みするカベルネ・ソーヴィニョンは収穫を待つ間に2度の台風に見舞われ、病果も増え、収穫量が極端に少なくなってしまいました。
それでも、人の力で病果を取り除き、ギリギリまで良い状態に育つのを待ち収穫した、正に2017年は、メルローが天の力が働いた年なら、カベルネは人の力が働いた年となったそうです。
彩奈さんもオーナーも選果が非常に大切だと繰り返しおっしゃっていました。いかに重大な作業であるかを感じさせてくれます。

因みに、品質に厳しい中央葡萄酒さんでは2016年のキュベ三澤の赤はリリースされないそうです。
その決断もまた、心震えるお話です。

この訪問を通して日本ワインの魅力に気づかせていただきました。
勤勉で、丁寧で、繊細な日本人ならではのワイン。
日本人が日本で造る日本ワイン。
これを皆様に伝えていくのも、日本人である自分達の役割であると強く感じました。

貴重な機会を与えてくださった、三澤茂計オーナー、彩奈さん、中央葡萄酒の皆様。
本当にありがとうございました。

ワイン担当 山内いづみ